Location: japan
Category: exhibition
Date:2018.05.22
展覧会名:呼気 KOKI 杉原真樹個展
会場:カマタ_ソーコ (東京都大田区萩中3丁目22-7)
会期:2018年4月7日(土)〜4月22日(日)
開館時間 12:00-19:00
ここで動いているこれらは、
あなたが訪れる前にいた誰かの呼気です
あなたの呼気を残して行ってください
そしてあなたもいなくなった後。
それに会いに、今また誰かが訪れた
2010年より、様々な事物を音で繋ぐことを模索するアートユニットeje(エヘ)の中核的存在としてその活動を展開してきた杉原真樹は、事物と鑑賞者の記憶をつなぐ(『ものおと』 岡本太郎現代芸術賞特別賞受賞、2013年)など、「物」自体に内在するものや、それが鑑賞者と交叉する見えない領域を可視化することに常に関心を注いできました。eje(エヘ)とは、スペイン語で軸(本質)を意味する言葉だったように、杉原は、事物がそれ単体では意味を持たず、体験者との関係性から生まれるものがその本質である、との立場からその活動を展開してきました。そのような本質の追求、事物と鑑賞者が交わるエフェメラルな瞬間の創出は、作家の生み出す世界観の中核を成すと言えるでしょう。
本展で、杉原は鑑賞者の「呼吸」を、事物という「皮相」の間をつなぐ媒介として注目しました。鑑賞者は空間を訪れ、自分の「呼吸」を通じて、様々な事物との対話に導かれます。ある時は、自らの息が生み出す泡の音に耳を澄ませ、またある時は、自分以外の誰かの呼吸の名残に身を任せることもあるでしょう。カマタ_ソーコを舞台に、「呼吸」というメディウムが事物同士を紡ぐ一過性の空間をつくりあげます。本展は、杉原真樹 の個人として初の個展となります。
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「事物と体験者を結び付ける方法さえあれば、実体としての作品自体は必要ない」
エヘでは、その理念でやってきました。
今回の個展は体験者自身の呼気をそれにする試みです。
美術館やギャラリー、芸術祭、アートを見るときに違和感があります。
同じ作品を見ている他の鑑賞者のことを、透明人間のように扱う、暗黙の了解があるように感じます。
同じ作品でも、都心の人気展覧会で大勢の人の頭越しに見る体験と、ひっそりとした場所で自分だけがいる体験。作品自体がそれに影響を受けて、全く違う体験になっているはずなのですが、それは無かったことになっている。中には1人ずつ鑑賞させたり、声を出してはいけないなど、初めから透明人間として扱う作品もあったりします。
他の鑑賞者に影響を受け過ぎること、あるいは影響を与えてしまうことは現にあるので、そういう方法もアリでしょう。でも今回はそうではなく、そこにいる(そこにいた)鑑賞者を透明人間にしないまま作品に取り入れる試行です。
呼気を通して、自分が訪れる前にそこにいた人、これからここにくる人。
少しだけ、その透明人間の輪郭がおぼろげに見えるようになればと思います。
この展示には、あなたの呼気が必要です。
ぜひここに来て、呼気を残していってください。
杉原真樹
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助成:アーツカウンシル東京
協賛:エミリーズバルーン株式会社
協力:@カマタ
告知動画 作品名:記嚢(きのう):
https://youtu.be/wdz1fdIlJTs
告知動画 作品名:あわおと:
https://youtu.be/_EKmhcMC9Bk
©Yoshiaki Ito
©Megumi Yuasa
©Maki Sugihara